
☑うちは自然派育児でいこうかしら…
☑人工的なものはよくない気がする…
そんなことを思ったことはないでしょうか。そんな方には今回紹介する
「子どもが出来て考えた、ワクチンと命のこと。」
を読んでみることをおすすめします。
世の中には依然として、「自然派ママ」という人たちが存在します。人工的に作ったミルクは信じられないから、完全母乳主義。母乳がたくさん出ればそれでも良いのでしょうが、出ない人で完全母乳思想に染まってしまった人は悲劇でしょう。
人工的なものは体によくないから石鹸は使わない。僕は前そんな考えをもったママにあったことがありますが、そのお子さんからは刺激臭が漂っていました。100歩ゆずってその子が自分で選択しているのなら話はわかりますが、親がたまたまそういう考えだったというだけなのにかわいそうでした…
「ワクチンを打たない」というのもその一種です。
日本では、そこらへんに普通にいるお医者さんが

などど言ってくるので、ころっと信じてしまう人が多い印象です。
著者のユーラ・ビスはこの本で、そんな思考になってしまう原因をジャーナリストの明晰な視線で描いています。
彼女自身が子どもを生んでから「ワクチン」を拒否したい気持ちになったこともあり、その「気持ち」がそこらへんに転がっている「ごくありふれたもの」だと綴っています。
「ワクチン派」と「反ワクチン派」に分けて考えて、「反ワクチン派」を非科学的な態度として安易に退けるのではなく、そのような思考になってしまう流れを丹念に取材を重ね記述したことにこの本のオリジナリティがあるのです。
そして不思議なのは「ワクチンは打ったほうがよい!」と強く名言している内容ではないのに、本書を読み終わったあとには

と自然と思えることです。
例えばこんな一節があります。
代替医療が人々を引きつける理由のひとつは、それが別の考え方や別の治療法を提供するだけでなく、別の「言い方」をすることにある。身体を汚されたと感じていると「浄化しましょう」と言われる。気力がわかない、何かが足りないと感じていると「補充しましょう」と言われる。何か有害なものが体に入っているように感じていると「毒出ししましょう」と言われる。加齢により錆ついたように感じていると(錆とは金属の酸化反応だ)、「抗酸化作用があります」と言われる。汚れ、不足、毒、錆というのはどれも私たちの心の中にある曖昧な不安感を言語化したときのメタファーだ。ー本書P70ー
めちゃくちゃ的確な分析です。
ここでいう代替医療とは水疱瘡の子を家に呼んで我が子にうつしてもらう行為も含んでいます。「ワクチンは人工」「人からうつしてもらうのは自然」そういう言葉のマジックに人は簡単に引っかかります。
なぜなら彼女が言うように、我々はみな心の中に漠然とした不安を抱えているからです。
photo credit: iandeth 安心 via photopin (license)
特に産後の女性は我が子の健康に関してとても敏感です。そして健康には正解がないため、何かにすがりたくて仕方ないのです。
だから、何も知識がないところに、支援センターで新しくできたママ友に「ワクチンなんて打たなくていいのよ。体には毒だわ。」なんて吹聴されたら、もう思考停止してしまい盲目的に信じてしまう可能性はゼロではありません。
僕が同じ立場だったらもしかしたら「反ワクチン」の仲間入りをしてしまうかもしれません。
しかし、この本を読んでいれば、少なくとも盲目的に信じてしまうなんてことはなさそうです。
不安や焦りにつけこんでくるような勢力はこの世の中にたくさんいます。彼らに対抗する有効な手段は「正確な知識」を身につけることです。
出産間もない方、今から出産する方にぜひ読んで欲しい一冊!!